1 パウロは、人生の両極端を味わって生きた人でした。ユダヤのベニヤミン族として生まれ
た彼は、パリサイ派の厳格な教育を受けて育ち、しかも優秀だったので若くしてユダヤ人
社会で用いられます。ところが豊かで富んだ生活が、クリスチャンとなり巡回伝道の働き
人になると一変します。貧困、病気、身の危険、社会的信用の失墜等を味わうのです。し
かしその渦中で彼の語った「私はどんな境遇にあっても満ち足りることを学びました」と
いう言葉に目が留まります。
2 この世の有様を見る時、富と貧困、どちらの人生にも共通してもたらされる結果があると
気付きます。それは「不満」です。富んでいれば全て幸せというわけではなく、富んでい
ても毎日不平不満でいっぱい、人生に絶望していることだってあるのです。富みや貧困に
代表される、人を取り巻く境遇に左右される生き方を離れることが、本当に幸せな生き方
へ進む第一歩なのではないでしょうか。パウロもまた境遇に左右される弱さを持つ人でし
たが、主イエスとの出会いが彼の心の方向を変えました。「私はどんな境遇にあっても満
ち足りることを学びました」とは、主を信じる信仰から生まれてくる告白なのです。
3 真に満ち足りた、強くしなやかな生き方をするためにどうすればよいでしょうか。
①神に信頼する⇒ピリピ4:13はご利益信仰の勧めではなく、自分はどんな時にも主以外に
頼らないという信仰者パウロの強い信仰告白です。あなたが信じる生ける救い主に、と
ことん寄り頼むことです。そこに主の力は顕されます。
②神にお任せする⇒思うに任せない逆境の時、あなたの口にはたくさんの不平不満が生ま
れていませんか。信仰者にとって最善の道は、全てをご存知で、あなたに最善を為して
くださる主にお任せしていくことです。主にお任せする人こそが、順境の時も逆境の時
も、強くしなやかに生きていける人なのです。