1 主イエスがこのように祈りなさいと教えられた「主の祈り」は、マタイとルカの福音書に
記されています。「われらの日用の糧を今日も与えたまえ。」とは、その内の一節です。
「日用の糧」とは人間が毎日食べる物のことであり、どんな人も、適切に食物を摂取する
ことなしに命を保つことはできません。世界的に見れば飢餓の問題はあるものの、日本に
限れば反対に飽食の問題がある現代ですが、この祈りの必要性は色褪せてはいません。
2 この祈りを通して教えられている、あなたが日々切実に求めるべきものは何でしょうか。
第一に、「与え主なる神への信仰」です。あなたの日用の糧は、神が与えてくださるもの
だからです。荒野の旅路を辿るイスラエル人が毎日天来のマナで養われたように、あなた
の辿る地上の旅路もまた、日々の必要は主なる神によって与えられるのです。食前の祈り
を大切にすることが、自分だけで生きているという傲慢の罪からあなたを遠ざけます。こ
の一年間、豊かな食物をもってあなたの命を支えてくださった神に心から感謝し、共なる
神への信仰を握って新しき年を迎えましょう。
3 第二に、「神へ今日と明日を委ねていく信仰」です。「われらの日用の糧を今日も与えた
まえ」とは、何年も先まで求める祈りではなく、今日のための祈りであることに注目しま
しょう。なぜ今日だけでよいのでしょうか。それは、明日は与え主である神の御手の中に
あることだからです。あなたは、明日への不安を抱えていませんか。何よりも偉大なお方
であると同時に、大変やさしく細やかな配慮に満ちた父である神が、今日の必要を祈るあ
なたに応えてくださることを信じましょう。そして新しい年も、見えない明日を開き続け
てくださる主に信頼して進もうではありませんか。来る年も、霊肉の糧を豊かに祝福して
くださる神に「われらの日用の糧を今日も与えたまえ」と祈りつつ、歩みましょう。